あのね、先生。-番外編-
「…別に苦手とかじゃ…」
「いや、嘘だね。だって吉野先生、咲良と全く正反対のとこにいる人だし」
「ちょ、待て。何で咲良?」
確かにあの人は苦手だ。
だけど評判はいい。
「え?中村さん、咲良お気に入りだろ。ああいうタイプほっとけない人じゃん?」
お気に入り?咲良が?
「もう妹みたいなもんだと思ってたし」
「勘弁しろよ。あんな妹いたら大変だろ、間違いなく」
確かに咲良と吉野先生は正反対で、どっちかって言ったら咲良と話してる方が楽だ。でもそれは当たり前だろ。
咲良と吉野先生じゃ、接してる時間が違うんだから。ほとんど関わりのない吉野先生と3年間担当した咲良だったら、もはや同じ土俵の上じゃない。
「とにかく、俺学生のときから思ってたよ。中村さん、吉野先生のこと苦手なんだろうなって」
能天気なやつだと思ってたのに、どうやら周りのことには敏感らしい。