あのね、先生。-番外編-
「いいな、あたしも行きたかった」
「茉央ちゃんはもうお腹大きかったでしょ」
「今年は春も一緒に行けるよ?」
「…2人も一緒になら、いいよ」
そう言って梨花とシロを指差す蓮くん。
「そりゃ、蓮くんの大事な嫁と息子のお守りなら引き受けないわけにはいかないけど」
「お守りって何よ」
蓮くんがあたしと春の2人で来させたくない理由はなんとなく分かる。
「蓮くんの息子ってなったら当然囲まれるし、嫁ってなったら咲良もゆっくり文化祭なんて楽しめねぇよ」
なんて言ってシロは笑ってるけど、他人事だな、おい。
それにまだ咲良って呼ばれるのも何だか変な感じだし。
…それはもう慣れだから仕方ないけど。
「そうなんだよね。俺だってずっと一緒にはいられないし、でも春の顔も茉央ちゃんの顔も知られてるし」
何なんだろうね、こう、ずっと人気なのは。
あたしが高校生の時から変わらないその柔らかい雰囲気も、笑った顔が可愛いとこも、あのときから歳は重ねたのに今の高校生にも同じように見えてるの?
「俺も来てくれたら嬉しいんだけどね」
「んふふ、嬉しいんだ」
「そりゃあ、頑張る気力わくよね」
あたしの隣に座った蓮くん。
春はこっちを向いて寝てて、その無防備な寝顔に癒される。
天使だよ、天使。