あのね、先生。-番外編-
「蓮くんのお姫様抱っこ」
きっとあの光景はみんなの目にしっかりと焼き付いてるんだろう。
「いやー、あれはすごかったよね」
当人よりも2人の方が盛り上がってる感じが何だか面白い。
蓮くんもそれを笑って見てる。
「俺今でも覚えてるよ、あの女子生徒たちの悲鳴」
「うん、俺もそれは覚えてる」
「あたしもー」
覚えてないのはあたしだけか。
「茉央ちゃんは意識なかったもんね」
「そうなんだよね、浮いた感覚だけは何となく覚えてるんだけど、悲鳴なんて全然聞こえなかったし」
それを覚えていないのはもったいない気がするけど、過ぎてしまったものはもうどうしようもない。
でも体育祭が終わってもしばらくいろんな子に声かけられたな。
何てったって、蓮くんにお姫様抱っこされてたんだもんね。そりゃ悲鳴もあがるよ、仕方ない。
「懐かしいな、ほんと」
「あれこそ青春だよね」
ほんとにこのカップルは。
若干からかわれてるのが何となく分かるんだけどな。
だってほら、ちょっとニヤニヤしてんじゃん。
「あのときはもう付き合ってたよな?」
「夏休み前からだからね」