あのね、先生。-番外編-

…そう考えたら、避けてんのは俺か?

子供かよ。苦手だから避けるって、今どき学生でもそんなことしねーよ。

「これ預かってた書類と、その他諸々です。一応目通しといてください」

「はい、ありがとうございます」

はい、愛想笑い。

そもそも愛想笑いも出来てんのかな。


「じゃあ、お願いしまーす」

結局いつも通り事務的な話をして、お互いに愛想笑いで終わらせた。

これが楽でいいんだよな、やっぱり。

白城が何て言っても関係ない。

大人になったら適度な距離ってもんが大事になるじゃん。俺にとってはそれがこの人を対象に必要なもんだったんだ。


「…あの」

ドアに手をかけて、もうあとは開いて出るだけって時だった。

「…何すか」

呼び止められて立ち止まってしまって、後悔するのはこれで2度目だ。
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