あのね、先生。-番外編-
「なー、梨花」
「何?」
「あれ、蓮くんと咲良じゃん?」
立ち止まった白城くんは、前方を指差してそう言った。
働き出してからは茉央と会う機会もかなり減って、篠原先生に関しては半年近く会ってなかったような気がする。
そんな2人の姿を見つけた白城くんは嬉しそうにあたしの手を引いて、おかまいなしに駆け出した。
「ちょっ…、早い!」
足には自信がある方だけど、白城くんと比べると全然遅い。
引っ張られるままに走るけど、ついていくのがやっとだった。
「蓮くん!咲良!」
ほんとに、たまにこうやって学生みたいに戻るんだから。
手を繋いで歩いてた2人は、白城くんの声に振り返って、あたしたちを見つけると嬉しそうに笑った。
「久しぶり!」