あのね、先生。-番外編-
その証拠に、近づいてきた蓮くんからは甘ったるい匂いがする。
「いっぱい貰ったんだね」
きっといつもより早く帰ろうとしてた蓮くんを、女子生徒が引き止めたんだろう。
想像出来るもん。
蓮くんいい人だから、強引には振りきれなくて、他の生徒にも見つかってこんな時間になっちゃったんだよね。
「…怒ってる…よ、ね」
苦笑いの蓮くんは、あたしが少し拗ねてることなんてとっくにお見通しで、紙袋をキッチンに置いた。
それを持ったまま近づくべきではないと思ったんだろう。
怒ってない。
…ただ、今は話したくない。
これは単なるあたしのワガママだから、蓮くんは何も悪くない。今話して変なことを口走りたくないだけだ。
あたしすごく子供だね。
蓮くんが学校で女子生徒に囲まれてる絵なんて、すぐにでも想像出来て。それにヤキモチを妬いてるんだから。