あのね、先生。-番外編-

たとえ数合わせだとしても、蓮くんは合コンだってことを知らないわけだし。逆の立場だったら絶対嫌だもん。

｢喋らなくてもいいから！｣

｢え？｣

｢座ってるだけでもいいの、一応数は合わないと申し訳ないっていうか…｣

梨花やシロや加地くんほど仲良くはなかったけど、この子とも高校の時は仲が良かった方だった。

だから、すごく気を使う子だってことも知ってる。

その子にこんなに申し訳なさそうに頼まれたら、どうしても強く断ることなんて出来なかった。


｢…早めに帰ってもいい？｣

｢っうん、気分悪くなったとか言って上手く抜け出してくれれば大丈夫！｣

｢分かった、今回だけね｣

｢ありがと茉央！｣

悪い子じゃないから。それを知ってるから今回だけ。今回だけ、蓮くんに内緒で。

合コンだったとはいえ、卒業してからそう簡単に会えなくなった友達と会えるのはやっぱり嬉しかったから。