あのね、先生。-番外編-

連絡先は絶対教えてない。

いくら酔っていたとはいえ、こんなところに連れ込まれて抵抗しないわけがない。

それに、お持ち帰りされるような態度はとってない。……はず。

何と言ったって何も覚えてないんだから。


とにかくまずは蓮くんに連絡しようとした時だった。

シャワールームのドアが開いた音がして、慌てて布団をかぶる。

だけど、丸くなったままだったからきっと隠れてるってすぐにバレるだろう。

それでもそういう関係になってしまったかもしれない相手と顔を合わせるのは嫌だったし、出来ればそのまま顔を合わせずに立ち去りたい。

……なかったことにしたい。


「…なーにしてんの?」


案の定隠れてるってバレたらしい。

ベッドの端の方が少し沈んで、布団をポンポンと叩かれた。

だけど、あたしが驚いたのはその人が話しかけてきたからでも、近づいてきたからでもなくて。
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