あのね、先生。-番外編-
「茉央ちゃん、出てきなよ」
その声が紛れもなく今すごく会いたかった蓮くんのものだったから。
「えっ!!」
カバッと布団から出ると、そこにはやっぱり蓮くんがいて。
髪からポタポタと雫を垂らしていた。
「んな格好してると襲っちゃうよ?」
「えっ…わっ!」
「忙しいなぁ、ほんと」
「なんでっ…蓮くんがいるの!」
布団に包まったままそう聞くと、蓮くんはため息をついた。
状況が理解出来ない。
あたしは昨日高校の時の同級生に誘われて飲み会に行って…それが実は飲み会という名の合コンだった。
帰ると言ったあたしを強引に引き止めた友達は、数合わせでいいからいてくれと言ってきて、そのまま残ったんだよね。
途中までは覚えてるんだけど、しばらく飲んでからの記憶がない。
それで、今に至る。
「覚えてないんだね」
「…うん、全然」
少し怒ってる蓮くんに、やっぱり何かしでかしたんだと不安になる。