あのね、先生。-番外編-
「……29」
「ほら、もうすぐ30だよ?」
俺に結婚しろ、と言ってくるのは親じゃなくて生徒なのは何でだ。
親でさえ急かしてくることはないのに、白城も今ここにいる生徒も、相手はいるのかと親戚並みに気にしてくる。
俺が結婚してもしなくても、お前らには何の影響もないだろう。
「…結婚しねぇし」
もともとしたいと思っていたわけでもないし、あいにく今は相手もいない。
しなければしないでもいいだろ。
俺がそれでいいって言ってんだから。
「いやいや!もったいないよ!」
「そうだよ!せっかく近くにあんな美人がいるんだからゲットしなきゃ!」
こいつらの中ではその相手は吉野先生になってんだな。
「…お前らうっせ、帰れよもう」
ため息をついて帰れと手を振ってみるものの、面白がって帰る気配もない。
俺のこと何だと思ってんだよ。