俺様紳士の恋愛レッスン
6月上旬

失恋指導はスパルタにつき

「タカちゃんと出会ったのは、私がアートカフェでバイトをしてた頃」



互いのグラスには赤色のアルコール。

今日もお洒落なワインバーには、賑やかな笑い声が飛び交う。


ただ一つ、先々週と違うのは、私は今、優秀なコンサルタントによるヒアリングを受けているということ。



「タカちゃんが自分の絵を売り込みに、アポ無しでお店にやって来たの」



左側からじっ、と向けられる視線に、ある種の居心地の悪さを感じつつ、私は6年前の記憶を語る。



「画家を夢見て、その身一つで実家を飛び出して、上京して。
路上で絵を売ったりしてなんとか1ヶ月食い繋げてきたけど、そろそろ限界だから実家に帰らなきゃって言ってて……。
今日も泊まるお金がない、とか言うから、その……かわいそうだなと思って……」

「家に上げて、ペロッと食われちまったんだな」

「……ハイ」

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