俺様紳士の恋愛レッスン
「その為に必要なことは一つ。情を捨てろ」

「情を捨てる……」

「あぁ。これからはいい人を演じることを放棄しろ。エン、お前は人から何かを頼まれたら、相当な内容でない限り断らないよな?」

「うん、断れない」

「そうやって『いい人』のレッテルを得た代償に、お前は自分の時間を失い、ストレスは増え、更には『いい人を演じ続けなければならない』という義務を課せられる。
そう考えると、全然割に合ってねーだろ」



言われてみれば、確かにその通りだ。

いつも断ればよかったと、後悔している自分がいる。



「必要以上にいい人を演じる必要なんてねーんだよ。その証拠に、エンのことを本当に慕ってる人間は、皆お前のダメな部分を知ってるだろ?」



そう言われて、真っ先に浮かんだのは萌の顔だった。



「もうボランティアは辞めろ。お前の財産はお前の為に使え。
人の為に生きるな。誰の為の人生だ? お前の為の人生だろ」



それは、魔法のような言葉だった。

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