俺様紳士の恋愛レッスン
「……だって……!」



言い訳を並べて、必死に目を逸らし続けてきた本音が、溶かされていく。



「私と別れることになったら、タカちゃんは実家に帰らなきゃいけなくなる!」



そんなの可哀想だって、きっとどこかで同情していた。



「それに私がいなくなったら、誰がタカちゃんの夢を信じて、肯定してあげるの?」



できることなら私だって、タカちゃんの夢が叶うその時を、一緒に迎えたかった。



「それにもし、私がタカちゃんと別れることになったら……」



これは、自分でも知らなかった奥底の本音。



「この6年間は、一体なんだったの……!?」



遂に溢れた感情は、ほろりと頬を伝った。


結局私は、この6年間が無に還ることが、怖くて。

次の人が現れる保証なんてないから、怖くて。

壊れることのない誤魔化しの安定に、しがみついていたかっただけなのだ。

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