俺様紳士の恋愛レッスン
「――って、言われて来たはいいものの」



迎えた土曜日。私はとあるアミューズメント施設の前に立っていた。



「これってつまり……デートだよね?」



指定された場所に、指定された時間よりも20分早く着いてしまった私は、その場をひたすらウロウロ、キョロキョロ。

行き交う人を目で追っては、安堵なのかがっかりなのか分からないため息をつく。


私の休日といえば、タカちゃんと家でDVD鑑賞か、萌とショッピングのほぼ二択。

テンプレートでない休日は本当に久しぶりだ。


早く来ないかなぁ、と小石を蹴って遊んでいると、不意にトコトコ、と心地良いエンジン音が耳を掠める。

顔を上げると、こちらに向かってくるのは1台のバイク。

そこに跨るのは、見覚えのある細い身体。



「……まさか」



近付いてくるエンジン音に、共鳴して早まる鼓動。

遂にバイクは私の目の前までやってくると、カチャリと音を立てて停車した。

< 138 / 467 >

この作品をシェア

pagetop