俺様紳士の恋愛レッスン
その人は手慣れた様子でヘルメットを外すと、潰れた髪をワシャワシャッと掻き乱す。

そして前髪の隙間から片目で私を見つめると、小さく笑った。



「はえーよ、エン」



ぎゅんっ、と不整脈を起こす心臓。

こんな登場、ときめかないはずがない。



「十夜、バイク乗るんだね!」

「あぁ、晴れの日はもっぱらバイクだな。つーかやる気満々な格好だな?」

「だって動きやすい格好でこいって言うから!」



クスリと笑われた私の格好は、ぶかっとしたパーカーにショートパンツ、足元は気合いのスニーカー。

対する十夜はマウンテンパーカーに無地のカットソー、スキニーパンツ。

耳にはさり気なく黒のピアスが光っていて、カジュアルなのに反則的にカッコイイから、悔しい。

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