俺様紳士の恋愛レッスン
「相手が優秀な人だから、一瞬カリギュラかなと思ったけど……」

「何それ。怪獣の名前?」

「おバカ。カリギュラ効果っていって、禁止されると余計にそうしたくなる人間の心理。ほら、鶴の恩返しだよ。『見ちゃダメ』って言われると余計に見たくなっちゃうやつ」

「あぁー! それよくある!」



優愛さんのお店を覗いてしまった、あの時の状態だ。



「エンは単純だからそーゆーのすぐ引っかかるでしょ?」

「え。てことは、十夜は私に好きになってもらうために、わざと『好きになるな』って言ったってこと!?」

「と思ったんだけどさ。エンほど単純な人間なら『別れたら付き合ってやる』ってご褒美を鼻先にぶら下げたほうがずーっと効果的だわ。だから100パー違う! ごめんあははっ」

「――ッ萌のバカー!」



一縷(いちる)の望みは、萌の高らかな笑いと共に消え去った。

< 166 / 467 >

この作品をシェア

pagetop