俺様紳士の恋愛レッスン
定時を迎えたオフィスには和やかな声が飛び交う。

私も室長に残業を押し付けられる前に帰るべく、いそいそと帰りの支度を始めると、デスクの上に置いたスマホがブブ、と音を立てた。

光った画面を覗き込んだ私は、思わず固まる。



「エン、もう帰れる?」

「えっ? あ、うん。今パソコンの電源落とした」

「じゃあ久々にカフェ寄ってかない? どーせ帰っても一人でしょ?」

「あー……うん、行こ!」



私はスマホを握り締め、後ろめたい気持ちも一緒に鞄に押し込むと、勢い良く席を立った。



「萌、ついでに飲もう!」

「え、まだ月曜なんだけど」

「いいからいいから!」



こういう時は、飲んで気を紛らわす、それに限る。

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