俺様紳士の恋愛レッスン
イタリアンカフェでワインとパスタを堪能した後、帰路につく。

底なしガールズトークの最中は、余計なことを考えずに済むから楽だ。


私は鞄の中に押し込んでいたスマホを取り出し、恐る恐る画面をつけた。

すると表示されたのはいつもの待ち受け画面で、ほっと胸を撫で下ろす。



『今日、家に帰るね。エンちゃんは何時ごろ帰ってこれそう?大……』



あの時確認できたメッセージはここまでだ。


私は十夜の言いつけを守り、即レスをしないように心掛けていた。

既読マークがつかないよう、ポップアップに表示される文頭を読み、緊急性が無いことを確認したら、時間を置いて返事をするという手法だ。


最初は後ろめたさから酷く胸が痛んだけれど、最近はようやく慣れてきて、遂に今日、悪意のある見て見ぬふりをしてしまった。

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