俺様紳士の恋愛レッスン
私は寝室に入ると、早々にスーツを脱ぎ捨て、プラスチックの衣装ケースからワンピースタイプのパジャマを取り出した。

脱いだブラウスを右手に、パジャマを左手に持って、洗面所へと向かう。



「いい匂いしてきたー!」



キッチンを横切る私に、タカちゃんはにっこりと笑顔を向ける。



「もうできるよ。手洗って待っててねー」

「はぁーい!」



今、私が纏っているのは下着のみ。

誘っているとしか思えないその格好も、タカちゃんにとっては日常の風景でしかない。


それはもちろん、私も同じ。

タカちゃんの前でなら、むしろ裸体であっても恥じらいなど生まれない。



均衡で波のない生活が始まって、もう6年が経とうとしている。


穏やかで、危なげなく、流れるように過ごしてきた日々。

出会った日から今日までずっと、私たちは時間を共にしてきた。

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