俺様紳士の恋愛レッスン
「いただきまーす!」

「いただきます」



傍から見たら、私達の関係は妙に映るのだろう。



「んー、やっぱ餃子はうまい! ビールとの相性も最高!」

「あはは。いっぱい飲んでいっぱい食べて、明日も頑張ってね」



見ての通り、私達は世間一般で言う男女の役割が、見事なまでに逆転している。


その理由は単純明解。

私の彼氏である住本貴幸(すみもと たかゆき)、通称タカちゃんは、画家志望の夢見るフリーターだからだ。



「エンちゃん、実はね」

「うん?」

「来月の終わりに先輩が主催する展覧会があるんだけど。そこに僕の絵を何枚か出展させてもらえることになったんだ!」



高揚で染まるタカちゃんの頬。

私は口に付けていたビールの缶を、ゆっくりと離した。

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