俺様紳士の恋愛レッスン
「タカちゃん、ごめんなさい」



震える唇をようやく動かして、言葉を紡ぐ。



「私、彼のことが……好き」



消え入るような、情けない声になってしまった。

けれど確かに届いたらしい私の想いに、タカちゃんは「そっか」と呟いて怒りの色を消した。


ぐちゃぐちゃになった想いが喉に詰まって、泣いてしまいそうだ。

けれど今泣くべきは私ではないと、強く唇を噛み締める。



「うん、でもこんなにかっこいい人なら仕方ないね。敵わないもん。はは」



申し訳無さそうに笑うタカちゃんを見て、ズシリと胸に鈍痛が走る。



「タカちゃんは悪くない! 全部私がッ」

「ううん。前にも言ったけど、エンちゃんに甘え続けてきた僕が悪いんだ」

「そんなこと……!」



あの時と同じだ。

どう考えても悪いのは私だというのに、どうしてタカちゃんは自分を責めるのだろう。

私を庇うその優しさが罪悪感となって、重く痛くのしかかる。

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