俺様紳士の恋愛レッスン
「あっ、でも、まだ二人は付き合ってはないんだよね?」

「もッ」

「もちろんです。一切手は出していません」



私の言葉を遮った十夜は、意味深に細めた目でタカちゃんを見据える。



「はは。イケメンなのに硬派なんだね」



タカちゃんは視線を躱すように俯くと、まだ見慣れない短い髪をガシガシと掻いて笑った。



「けど、せめて最後の展覧会までは僕の彼女でいて欲しいんだ。モチベーション的にもさ。僕からの最後のお願い、いいかな?」



そんな風に言われたら、断れるはずがない。



「……分かった」



私の答えに十夜は何も言わないけれど、威圧的なオーラはひしひしと背中に伝わってくる。

この期に及んでも情を捨てきれない私に、辟易しているのだろうか。

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