俺様紳士の恋愛レッスン
「そっか、よかったね!」

「うん! 今回こそ目を付けてもらえるように頑張らなきゃ」

「そうだね。じゃあまたしばらくアトリエに籠るのね?」

「そうなると思う。もちろん週に何回かは帰るよ! エンちゃん、ほっとくとすぐ洗濯物溜めちゃうから」

「今回こそは大丈夫ー! 私のことは気にせず、絵に集中して?」

「……うん、分かった。ごめんね、エンちゃん」



この会話も、もう何度目だろうか。

申し訳なさを含ませた、タカちゃんの笑顔を見ることも。



私はタカちゃんの、キラキラとした目がとても好きだった。

私にはない、夢を見据えた希望の目は、澄み切った山水のように私の心を潤してくれた。


けれどいつからか、それも水道水となんら変わりない、日常の産物へと変わってしまった。

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