俺様紳士の恋愛レッスン
6月下旬

成功報酬はアメの味

昼時を過ぎた定食屋には、豪快にそばを啜るサラリーマンの姿や、大学生と思わしき若者の姿がちらほらと見受けられる。



「遠慮せずに好きなものを頼んでくれよ、片柳君」

「ありがとうございます」



プレゼンの成功を祝した食事会と称し、私たちは室長チョイスの定食屋にやってきた。

斜め前に座る十夜は、白シャツによく映えるボルドーのネクタイを熟れた手付きで緩める。



「下期は落とした人件費の分を店舗開発に注いでいきたいな」

「そうですね。インフレの波も来ていますので」

「そうか、片柳君は株や投資にも詳しいんだったなぁ。実は俺も株投資を始めようと思っててな、良かったら基礎から教えてくれないか?」

「私で宜しければ喜んで」



そういえば以前、優愛さんから十夜の趣味は株投資だと聞いた気がする。

優愛さんに比べて、私はまだまだ十夜について知らないことが多いなぁと、もやもやを噛み砕くように唐揚げをゴクンと飲み込んだ。

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