俺様紳士の恋愛レッスン
いくら優愛さんを助けたお礼とだいっても、ここまでする義理はないはずだ。

けれどどうでもいい人間に親切にするほど、お人好しな性格だとも思えない。


十夜にとっての私には、一体どのくらいの価値があるのだろう。


少しは特別なのだろうか。

全ては成功報酬が目的の、遊びなのだろうか。



「篠宮さん」

「――へッ? あ、何ですか?」

「いえ、難しい顔をされていたので。大丈夫ですか?」



一見、私を気遣うように細められた目は、心を見透かそうと瞳の奥深くを覗いてくる。



「や、大丈夫です、続けて下さい!」

「ですが」

「気にしなくていいよ片柳君。篠宮、理解できなくていいから頑張って聞くだけ聞いてろ。な?」



爽やかな笑顔で私の肩にポンと手を置いた室長。

バカにされている感満載だけれど、実際その通りな私は、はは、と苦笑いを返す。

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