俺様紳士の恋愛レッスン
「では、続けさせて頂きます。次は投資の種類についてですが、一口に投資と言ってもその形式や媒体は様々で――」



何やら専門的な話が始まったと思ったら、十夜の視線が分かりやすくこちらに向けられなくなった。

ここからは聞かなくてもいいという、暗黙のメッセージだろう。

そうして暫く、真剣な面持ちで語る十夜と、熱心にメモを取る室長の両横顔を眺めた。



デキる男モードの十夜は、改めて見ても文句なしにかっこいい。

だから最初にホンモノの十夜を知った時は、本当に驚いたし、怖いとも思った。


口も態度も性格も悪い、意地悪な俺様。

けれど内に秘められた愛情は、驚くほど温かくて、優しい。


他の人を想う十夜に私はどんどん惹かれていって、結局取り返しのつかないところまできてしまった。

本当に私はバカだなぁと、つくづく思う。

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