俺様紳士の恋愛レッスン
決して冷めているわけではない。

タカちゃんのことは応援しているし、夢が叶うことを心から願っている。


タカちゃんへの不満は何もない。

不器用な私の代わりに、完璧なまでに家事をこなしてくれる。

飲食店でアルバイトをして、家賃の半額を負担してくれている。

温厚な性格だから、喧嘩をした記憶もない。


そして何より、私のことをとても大切にしてくれている。



私の日常は、事足りている。

けれど、だからこそ、時折欲が出てしまう。


たまには夜景の綺麗なホテルでディナーを楽しんでみたいな、とか。

休日は家でDVD鑑賞ではなくて、アクティブな遊びがしたいな、とか。

ドキドキしてみたいな、とか。


けれどどれも、今の現実では成し得ない憧れであって、ただの無い物ねだりであるということは分かっている。

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