俺様紳士の恋愛レッスン
タカちゃんとの久々のデートは、純粋に楽しかった。

手を繋いで店を回って、食事をして、たわいもない会話をして。

古びた絵画に補彩をしていくように、少しずつ以前の温かさを取り戻していくような感覚だった。


失った財産は、嘆いたって戻らない。

それならまた、1から始めればいい。



「エンちゃん、今日楽しかった?」

「うん、楽しかったよ」

「そっか、よかった!」



いつもの様に、少し隙間を空けて布団を2つ並べる。



「ご飯、割り勘でごめんね。絵のお金はまだ貰えなくて」

「今更何言ってんの。気にしないで」



正直なことを言えば、会計の時にまたあの違和感がやってきた。

決して割り勘が不服というわけではないし、以前はそれが当たり前だったのだけれど、私はイケナイ甘さを覚えてしまったらしい。

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