俺様紳士の恋愛レッスン
「分かってると思うけど、今日はエンの奢りだからね」

「もちろん喜んで奢らせて頂きマス」



月曜日の終業後にやってきたのは、今宵もお洒落なワインバー。

今ではすっかり常連客となってしまった私。



「一生懸命スマホ探してあげたのに? 結局別れられず? 挙句片柳さんに見捨てられた? ま、自業自得ってヤツね」

「誠に仰る通りでございマス」



萌は誰かさんと同じように、眉間にしわを寄せて笑う。

私のせいで、最近の萌はすっかり毒舌キャラが定着してしまった。



「で。向き合おうとしても片柳さんが忘れられないと」



萌はトパーズ色のワインを流し込むと、人参スティックでバーニャカウダソースを掬う。



「ホント、エンは救いようのないバカだね」



そう呆れながらも、やはり見捨てないでくれる萌。

これ以上ない申し訳無さに喉が熱くなり、慌ててワインを押し流した。

< 293 / 467 >

この作品をシェア

pagetop