俺様紳士の恋愛レッスン
「ま、待って……ッ」



ゼロ距離から落とされる、痛い程に一路な瞳。



「い、今のは反則!」



本能が命の危険を感じ取り、ぎゅっと瞼を閉じた。

堪らず覆い被さる体温を剥がそうとするけれど、華奢なはずの身体はビクともしない。



「お願い、離し――」

「円華」



威圧を帯びた声色、聞き慣れた低いトーン。

嫌な予感が頭をよぎり、恐る恐る目を開けてみると。



「離さねぇって言ったよな?」



そこにいたのは、『いつもの』十夜。

意地悪く上がった口角が、形勢逆転の合図だった。

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