俺様紳士の恋愛レッスン
「あぁ、そうか。俺が近付くと心臓が止まるんだったな?」

「ッ――!」

「もう、限界?」



耳元に寄せられた、蜜な低音ボイス。

唇が首筋に触れた瞬間、全身に熱が走り、堪らず仰(の)け反る。



「や、めッ……」



熱い唇はお構いなしに、震える喉を撫で、鎖骨を滑る。

段々と柔くなっていく肌を辿るように愛撫は落ちて、その度にビクン、と震えてしまう過敏な身体。



「や、まだ話、終わってない、のに……、ッ」

「前に教えたよな?」



十夜は私の顎を掴み、浮かされた顔を覗き込む。



「家で二人きりになって抱かれなかったら、寧ろ恥だと思えと。お前はそれを分かった上で、俺の家に来たんだろ?」



――私はどうやったって、彼には敵わないらしい。

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