俺様紳士の恋愛レッスン
「来いよ」



十夜は私の手首を引く。

慌てて脱いだパンプスが、カランと音を立てて転がった。


部屋に入るや否や、照明を落とされて、見えないベッドに押し倒される。



「手加減しねーからな」



甘美な囁きとともに、傍(かたわ)らの間接照明が灯された。

暖色の光に照らされて、妖艶さを増した瞳がゆっくりと落ちてくる。



「ンッ……」



再び熱を上げる、強引なキス。

呼吸だけでなく、今度は体温をも奪うかのように繰り返されて、やがて首筋へと落ちていく。


肌を這う指の感触も、じくじくと疼く快楽も、全てが久しぶりの感覚で、居たたまれなく恥ずかしい。

私はひたすらに、細い身体にしがみついた。


狂い打つこの鼓動は、きっと十夜の唇にも伝わっている。

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