俺様紳士の恋愛レッスン
「おはようございます」



漆黒のトレンチコートを纏った、スラリと細い身体のライン。

一歩、一歩と近付いて来るその度に、共鳴するように鼓動が早くなっていく。



「おぉ、おはよう。君は確か……」

「株式会社RAPAC、人事コンサルタントの片柳と申します」

「そうだ、片柳君だったね。今丁度君の話をしていたんだよ。なぁ篠宮?」

「えっ!?」



話を振られないよう、半歩引いて視線を逃していたのに。

致し方なく顔を上げると、彼は一路に私を見据え、緩やかな笑みを落とす。



「おはようございます、篠宮さん。お久しぶりですね」

「……ご無沙汰しております、片柳サン」



営業スマイルを返しつつ、なーにがお久しぶりだ、と心の中で悪態をつく。

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