俺様紳士の恋愛レッスン
仕事を終えて帰宅すると、エプロンを付けてキッチンに向かう。


同棲を始めてから知ったことは、十夜はとにかくハードワークだということ。

日が昇る前に家を出たかと思えば、帰りが終電になることもざらにある。


そんな多忙を極める生活の中で、貴重なプライベートの時間を削り、私に失恋指導をしてくれていたのだ。



「ホント、かっこよすぎるでしょ」



手を洗いながら、思い出し笑い……否、思い出しニヤニヤをしていると、ふとレシピを表示していたスマホが震える。



『9時には会社出る。今日の飯なに?』



相変わらず業務的な文面に、緩んだ頬が更に緩む。

彼氏となった十夜は意外にもマメで、毎日こうして帰宅の時間を教えてくれるのだった。

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