俺様紳士の恋愛レッスン
食事の準備を終えて一息ついた所で、今日の他店調査のまとめをするべく、ノートパソコンを開く。


商品開発部に異動になって以降、私の仕事環境は一変し、以前のような定時での上がりは殆どなくなっていた。

しかし不思議なことに、あんなにも嫌いだったはずの残業を、今ではとても有意義に感じている。


始めは仕事が出来ない故の異動だと思い、落ち込んだりもしたけれど。



「適材適所にしたまでだ。いいから自分らしくやってみろ」



というコンサルタントの言葉を信じ、約半年間がむしゃらにやってきた結果が、今の私だ。

私同様、十夜の大胆な改革案には疑問を持つ者もいたけれど、結果が確立された今、是非を問う声はどこにもない。



「十夜って、失敗したことあるのかな……」



ふと浮かんだ疑問を呟くと、まるで応えるかのように、玄関からガチャリと解錠の音がした。

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