俺様紳士の恋愛レッスン
十夜は相変わらず言葉は少ないし、感情表現も豊かであるとは言えない。

しかし、だからこそ今のように、恥ずかしい言葉を言わされている瞬間の十夜は、堪らなく可愛い。


わざと煽るような言葉を向けて、自らそうするように仕向ける。

この半年間で習得した、私流、十夜の攻略法だ。



「ゴーヤチャンプルー、初挑戦なんだけど、美味しくなかったらごめんね」



コートを脱ぎ、ネクタイを緩める十夜の横を通り過ぎながら、ダイニングテーブルへと食事を運ぶ。

十夜と同棲し始めてから本格的に料理をするようになり、最近になってようやくレパートリーが増えてきたけれど、まだまだ味には自信がない。



「それ持ってこい。味見する」

「え? 今から食べるのに?」

「いいから」



言われた通りにゴーヤチャンプルーの皿と箸を持っていくと、両手が塞がっている十夜は「ん」と口を開けて、食べさせるようにと促す。

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