俺様紳士の恋愛レッスン
十夜の家庭が複雑な関係もあり、私たちは先日、親族のみでのプライベート挙式を行った。

そして今日は、友人や会社の関係者のみを招待した、披露宴兼カジュアルなウェディングパーティーとなっている。



『それでは乾杯と致しましょう! ご発声は、新郎の勤め先の上司でございます、木崎様にお願い致します!』



指名を受けた木崎さんは、周囲からの冷やかしを嬉しそうに受け止めながらやってくる。

そして十夜と私に一礼すると、スタンドマイクの前に立ち、きゅっと表情を引き締めた。



「十夜君、円華さん、ご結婚おめでとうございます。只今ご紹介に預かりました、木崎と申します」



賑やかだった会場は、しん、と静まり返る。



「……と、堅苦しい挨拶はここまでにして。この場を借りて、少し昔話をさせて頂いても宜しいでしょうか」



ニカッと笑った木崎さんに対し、ゲストからは「いいぞー!」などと、温かい声が飛ぶ。

チラリと横を見てみれば、十夜の顔は「マジかよ」と複雑に歪んでいた。

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