俺様紳士の恋愛レッスン
その後、軽食とお酒を堪能しつつ、実に健全な飲みの場が繰り広げられた。

1時間だけと言われていたにも関わらず、予想以上に会話は弾み、気が付けば彼の終電も近い時間になっていた。


店の外へ出ると、初春の風が火照った頬を優しく冷ます。



「ねぇ、本当によかったの?」

「何度も言わせんな」

「ハイ……」



というのも、いざ会計となった時、十夜は「男に恥をかかせるな」と言って、私からお金を受け取ることを頑なに拒否した。

元々は私が強引に誘ったというのに。



「ありがと、十夜」



申し訳なさから俯き気味にお礼を言うと、彼は「あぁ」とだけ呟いて、そっぽを向いてしまった。

こんな風に男性に奢られるのは初めてで、どんな顔をすればいいのかさっぱり分からない。

< 70 / 467 >

この作品をシェア

pagetop