俺様紳士の恋愛レッスン
「ね、寝たよ! バッチリ6時間!」



なんて本当は大嘘で、布団の中で悶々としてたら朝になっていたパターンだ。

けれど認めてしまったら、それこそ「十夜に会えるのが嬉しくて眠れなかった!」と言っているみたいで悔しい。



「エン」



彼の声を合図にしたかのように、銀色の扉が閉ざされた。

密閉空間、二人きり。



「全体的に血色が良くない。そのせいで先週よりも口紅の色が微かに強い。目も赤い。声に翳(かげ)りがある」



じわりと距離を詰めてきた十夜は、トン、と壁にもたれかかり、私を斜め上から見下ろした。



「嘘はよくねーなぁ?」



そして、不敵にニヤリと笑う。



「んなッ……!?」

「ふっ、血色良くなったな」



十夜は真っ赤になった私の顔を鼻であしらうと、颯爽と空間を出ていった。

私も慌てて飛び降りて、その背中を追う。

< 83 / 467 >

この作品をシェア

pagetop