俺様紳士の恋愛レッスン
「そんなトコまで見てるの!?」

「クライアントのその日の体調や気分を把握することも、コンサルタントにとっては大事な仕事の1つだ」



そう、ぺろりと言うのだから恐ろしい。



「じゃあもしかして、先週私が髪切ったのも気付いてた?」

「あぁ、バッサリいったよな」



トクンと心臓が鳴る。

飲みの場でも特に突っ込まれなかったため、気付いてもらえなかったのだと思い、密かにがっかりしていたのだ。



「あのさ。どう、かな?」

「何が」

「イメチェン」

「……あー」



もじもじと視線を泳がせる私に対して、十夜は何故か視線を宙に逸らす。

そしてチラリと一瞬私を見ると、再びふいと視線を逸らした。



「いいんじゃねーの、それで」

「え、どーゆー意味?」

「だから、そっちの方がいいんじゃねーの」



そう、投げやりに言う。

今までの余裕な態度とは打って変わって、どこか落ち着かない様子の十夜に、疑問が浮かぶ。

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