俺様紳士の恋愛レッスン
「ねぇ、もしかして……照れてる?」

「あ? ンなわけねーだろ」

「ならお世辞でもいいから可愛いって言ってみて!」

「あぁ? ンなこと言わねーよ」

「なんで! 十夜ならさらっと言えるでしょ!?」

「だから言わねーっての!」



そう言って振り返った十夜の顔は、ほんのりと赤かった。



「やっぱ照れてんじゃん!」

「照れてねーよ!」



十夜は矢継ぎ早に言い返すと、長い指で私のおデコをパチンッと跳ねた。



「ッた! 何すんのー!」

「いかにもデコピンしてくれってデコしてたからな」

「はぁっ!? もう完全に照れ隠しじゃん!」

「だーもー、うっせーな……」



十夜は深く刻まれた眉間のしわを抑えると、はーっと深く息を吐き、徐に顔を上げる。



「申し訳ありませんが、貴重な時間が非常に勿体ないので、さっさと案内して頂けますか。し、の、み、や、サン?」



そう、緩やかな(?)笑みを浮かべた。

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