俺様紳士の恋愛レッスン
ミーティングを終えた後は、いつも通りに仕事をこなし、19時を前に会社を出た。

帰り道、嫌でも考えてしまうのは先週の出来事。


それまでは素通りしていたはずの、カントリーハウスな洋菓子店。

メルヘンな木目調の扉に歩み寄ると、『OPEN』と書かれたプレートが掛けられている。



「……今日もいたりして」



覗いてはいけないと思えば思うほど、覗きたくなる。

居るわけないと思えば思うほど、期待してしまう。


結果、覗いたら絶対に後悔すると分かっていても、私はこうして覗いてしまうのだ。



「……いない」



テラス戸から覗いた店内には、華奢な背中一つしか見当たらなかった。



「可愛いなぁ」



女性は閉店準備中なのだろうか、カウンターや店内をウロウロと忙しく歩き回っている。

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