俺様紳士の恋愛レッスン
見た目から察するに、年齢は私と同じくらいか、少し幼いか。

恐らく誰しもが認めるであろう、可憐な容姿の女性だった。


世の中の男性は、こういう淑やかな女性が好きなのだろう。

それはきっと、十夜も同じで……。



「帰ろ」



急に虚しさを覚えた私は、覗き見をやめて踵を返す。

扉の前で足を止めると、『本日のおすすめ』と書かれたブラックボードが置かれており、その一番下には店の名前らしきローマ字も並んでいる。



「ビー、エル、エー……ぶらんく、あもう……?」



首を傾げたその瞬間。
カラン、と開いた扉はバンッ、と私のおデコにクリーンヒット。



「きゃあぁっ!!」



耳にキンと響いたソプラノの声。



「すみません、すみません! 大丈夫ですか!?」



扉の中から現れた女性は、しゃがみ込んだ私の隣に慌てて寄り添う。

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