俺様紳士の恋愛レッスン
「すみません、すみません! 今すぐ救急車を……!」

「へっ!? いや大げさ!」



女性の余りの慌て様に顔を上げると、至近距離に現れた瞳はたっぷりの涙で潤んでいる。



「あぁ、おデコが! すみません、やっぱ、り……」



語尾をスローに萎ませた女性は、私をじぃっと見つめると、首を傾げた。



「もしかして、先週の方ですか?」

「えっ!? いやぁ、あははっ?」

「やっぱりそうですよね! あのっ……」



何かを言いかけた女性は、はっとしたように立ち上がると、私の右腕を掴んで持ち上げた。



「そんなことより、今はおデコのほうが大事でした! どうぞ中へ!」

「や、ほんと大丈夫ですから!」

「ダメです、お詫びもしなければ……!」



女性はひ弱な力で私を立ち上がらせると、扉のプレートをひっくり返して『CLOSED』にし、私を店内へと連行した。

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