キミが笑う、その日まで
「あの~!すみませ~ん!」
あたしは出来る限り声を張り上げて、彼をなんとか起こそうとする。
すると願いが通じたのか、彼がゆっくり体を起こした。
「…………」
制服のワイシャツの後ろの襟についている、少し長めの所々はねた明るい髪の毛。
涙袋の目立つ、やや大きめの二重の瞳。
全体的に整っていて、同じくややほっそりとした顔立ちだ。
緩めにネクタイを絞めている所を見ると、やっぱり居眠り常習犯かも。
ネクタイの緩め具合だけで判断しちゃいけないとは思うけど、この緩そうな出で立ち。
何らかの問題児って感じがぷんぷんする。
「……おたく、誰?」
「は?おたく?」
あたしはアニメとか漫画とか、そういうのに興味はないのですが…。
って何でいきなり「おたく」?
「あたし、オタクじゃないんですけど…」
「…………?」
「…………?」
何がしたいの、この人。