キミが笑う、その日まで
教室を開けると、一斉に皆がこっちを見た。
…恥ずかしいにもほどがある。
公開処刑じゃない?これ。
「……誰かしら?」
音楽教師らしい女性の先生が、あたしを見て首を傾げる。
あたしは本日3回目の自己紹介をした。
「西川さんね?
話は聞いているわ。
今日の遅刻は許すけど、今度から許さないからね」
「は、はい……」
おっとりとしていそうな先生だけど、言っていることはかなり現実味がある。
先生はあたしの後ろでまだ眠そうに立っている男子を見て、呆れたように溜息をついた。
「また遅刻なの?如月くん」
…如月くん?
コイツが!?
「あなた遅刻多いんだから、気を付けなさい?」
「……わかりました」
「じゃあ2人とも、席に座って」
あたしは先生に言われた、如月くんの隣に座る。
…面倒そうに授業を受けているコイツが、如月くん。
あたしが羨ましいと思っている名字の彼。
…なんか、面倒そうな人。