好きだからキスして何が悪い?
クラスの人と話しているところもあまり見ないし、休み時間は机に向かっていることが多いから、なんか私達似てるなって。

でもきっと、如月くんは優しい人なんだと思う。

今だって、ぶつかった男子は私のバッグなんて気にしなかったのに、如月くんは拾ってくれたし。


ちょっぴり胸が温かくなるのを感じながら、彼の後ろの席についた。

まだ席替えをしていなくて名簿順のままのそれは、私の前は如月くん、その左隣が文ちゃんとなっている。

文ちゃんと如月くんも、用がない限り話すことはない。


いつものようにショートホームルームが終わり、1時間目の日本史の準備をしていると、文ちゃんが椅子にのけ反りながら言う。


「あーやだな日本史。歴史上の人物多すぎて、誰が何やったのか覚えらんない」

「じゃあこれ読んでみる?」


私がバッグから取り出したのは、“萌えて覚える!ラブヒストリー”という名の参考書。

私も歴史が苦手だから、なんとか楽しく覚えられないかなぁと、本屋で探して出会ったのがこれ。

イラストが綺麗で、勉強というより漫画を読んでるみたいな感覚になれるのだ。

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