好きだからキスして何が悪い?
たしかに伸びっぱなしのこの髪、結ばないとかなりボリューミーで、おっしゃる通りなんだけどね。

ていうか、この髪をなんとかするってことは……。


「まさか、美容院に行くの!?」

「正解~♪ 僕が行ってるとこ、カットモデル募集してたから頼んでおいたんだ。だからお金の心配はいらないよ」

「えぇぇ、そんな勝手に……!」


にっこり笑う琉依くんの強引さに驚愕。

しかも美容院って、美容師さんと話さなきゃいけないから、私苦手なのに……!

すでに逃げ腰な私の前に回り込んだ文ちゃんは、私の両肩をがしっと掴み、真面目な顔で言う。


「こうでもしないと菜乃は自分を変えようとしないでしょ! あんたの恋のためにも、これくらいの努力は必要不可欠なんだよ」


──私の、恋のため。

ふいに如月くんの姿がぽんっと頭に浮かんだ。

もしも今の私が、彼に告白したらどうだろう。


『そんな自分磨きもしてないようなナリで、よく告白出来たな。その根性だけは認めてやる』

とか冷たい目で言われて、フラれるに違いない!

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