好きだからキスして何が悪い?
「じゃ、案内しますね。こちらへどうぞ」

「あ、は、はい!」


ふたりに手を伸ばしていると、キラキラスマイルを振りまく可愛い女性の美容師さんに促された。

とりあえず女の人でよかったかな……。

髪型はその人におまかせしたけれど、一応短くはしないでほしいと伝えておいた。

いきなりショートにされるのは、やっぱり勇気がいるもんね。



人の手で髪を洗われるのってめちゃくちゃ気持ちいいんだなぁ……と思いながら、シャンプーをしてもらった後は、いよいよハサミが動き出す。

髪の毛をとかしながら、担当さんが気さくに話し掛けてくれていた。


「前回美容院行ったのっていつ?」

「さぁ、忘れちゃいました……いつも自分で切ってるから」

「えぇ~自分で!?」


さっきここまで来る間にも同じ話をしたけど、リアクションも文ちゃん達と一緒だ。

美容院ってお金かかるし、話すのも緊張しちゃうから、もう自分で切っちゃえ!と思いきってやったのが最初で、それが定着しちゃったんだよね。

多少おかしくても、結んでいればわからないし。


……という話をしている間、美容師さんは終始苦笑いしていたのだった。

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