好きだからキスして何が悪い?
カットモデルを頼むということは、彼女はきっと新人さんなのだろうけど、それでも私からしたら十分手慣れて見える。

どんどん切り落とされていく髪の毛を見ていると、気分もスッキリしていく気がした。


約一時間後には、肩下十センチくらいの(美容師さんいわく)抜け感があるストレートヘアが完成。

同じロングなのに、なぜこうも違うのか……さすがって感じ。


さらに「ちょっと巻いてもいい?」と言われ、コテでくるくると毛先が巻かれていく。

あっという間に、ふわふわヘアに変身した。


「わぁ……可愛い」


思わず自分で呟いてしまうと、美容師さんも満足げに微笑んで、「うん、とってもお似合いだと思います」と言ってくれた。


こんなふうに髪を巻いたことなんて一度もない。

ゆるいS字型に揺れる髪を見るのが、とっても新鮮で嬉しい!


お礼を言い、美容師さんに見送られて外へ出ると、なんだか景色が違って見えた。

暑い日差しすらも清々しく感じて、全部がキラキラしている。

文ちゃんに電話すると、『このままランチしようよ』ということになり、私は軽い足取りでカフェに向かった。


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